2025年5月5日からの1週間、ドル円(USD/JPY)の為替相場は、日米の経済指標発表や金融政策スタンスの違いを背景に、重要な局面を迎えると予想されます。
特に、アメリカの景気減速懸念と日本の成長鈍化が交錯する中、為替市場では不透明感が増しており、投資家にとっては注視すべき1週間となります。
日本経済:成長率見通し下方修正で円売り圧力も
日本銀行(BOJ)は5月1日に発表した経済見通しで、2025年度の実質GDP成長率をこれまでの1.1%から0.5%へ大幅に下方修正しました。
背景には、米国が導入した新たな関税による輸出不振、特に自動車産業の落ち込みがあり、インフレ鈍化傾向も明らかです。これによりBOJは0.5%の政策金利を据え置き、利上げには慎重な姿勢を維持しています。
急激な政策変更は避ける構えで、円高材料が乏しいことから、今週も円安圧力が継続する可能性があります。
米国経済:リセッション懸念と利下げ観測
一方、アメリカでは2025年第1四半期のGDP成長率がマイナス0.3%となり、市場ではリセッション懸念が広がっています。関税や物価高、個人消費の低迷が影響しています。
FRB(連邦準備制度理事会)は、6月以降の利下げを示唆しており、これはドル売り要因となっています。今週は、小売売上高などの指標発表やFOMCメンバーの発言に注目が集まります。
為替市場の予測:レンジ相場の可能性が高い
複数の予測モデルによると、今週のドル円は143.2円〜143.6円前後での推移が想定されています。方向感の乏しい相場環境では、突発的な材料が出ない限り、大きな変動は起こりにくいと考えられます。
一部では160円台予測もありますが、それはかなり強気の見方であり、現実的にはレンジ内での推移が有力です。
今週の注目ポイント
- 米国の経済指標(小売売上高、失業保険申請数など)
- FOMCメンバーの発言
- BOJの為替市場に対するコメント
- 米中・日米間の貿易関連ニュース
まとめ:市場は方向感を模索中
今週のドル円相場は、米国の利下げ観測と日本の利上げ慎重姿勢が交錯する中、どちらの通貨にも明確な買い材料が乏しい状態です。
方向感のない中でも、市場は突発的なニュースに過敏に反応する可能性があります。トレーダーにとっては、経済指標や要人発言に対して敏感に反応し、短期の押し目・戻り売り戦略を軸に柔軟な対応が求められます。
来週以降、FRBが利下げに動き出せば、大きなトレンド変化の兆しとなるかもしれません。今週はその前哨戦とも言えるでしょう。
コメント